どこにいるんだ、くるみ…!
「暗いからここらへん危なそうね、心配だわその子」
「俺が悪いんだ、二人でいれば安全だと思って目を離した」
「大丈夫よ、卓斗。きっと見つかる、そう強く願うの、必ず叶うから」
母の言葉が胸に突き刺さる。親ってなんでこんなに強いんだろうか。子どもを安心させてくれるんだろうか。
「悔やんでも仕方ないよな…」
「…がいします」
声がしてきた。会話をしている声か?
「そこに誰かいるのかっ!?」
「卓斗さん!」
「くるみ!」
良かった!無事だった!
「お前、どこいってたん…」
「見つけましたよ!黄泉人!」
俺のセリフにかぶる勢いのその声を聞いて、心配がぶっ飛んだ。
めっちゃ元気じゃん。
「こっちも見つけたんだ!そして、なんと俺の母さんだった!」
「えっ!?」
「あら、そっちは私の旦那じゃない」
「はっ!?」
母の声で初めて、二人目の黄泉人の顔を見る。まさか、そんな。
「父さんだ…」
こんなことってあるのか?
一気に二人も蘇ることすら珍しいのに、どちらも俺の家族なんて。
「卓斗、大きくなったな」
「おぅ、てか俺の家族、皆亡くなってたんだな」
「何悲しい顔してるの、今生きてるじゃない!」
「そうだけど、二人に会えて嬉しいけど。ごめん、俺、記憶無くしてるんだ。だから、なんか二人との思い出とか思い出せなくって、ごめん…」
「そうだったの!?これから思い出せるわよ。生みの親が二人も出てきたんだから、これ以上のインパクトある?」
「ははは…」
そうだと、いいな。
「それは置いておこう。その格好と言うことは卓斗、お前は今働いているところなんだろ?」
そうだ!黄泉人が蘇ったら、善悪か判断してそれから…
あれ?身内の場合はどうするんだ??
「隊長!黄泉人どちらも俺の身内でした、こういう場合は善悪判断どうすればいいっすか?」
『うーん、そうだな』
隊長がどんな判断をするのか。
皆、静かに待っている。
『一緒にまた暮らせばいいだろう!一週間くらい様子見て。とりあえず組織の本部に連れてきなさい』
意外なような、当たり前のような。こっちとしてはありがたいのですが。
「了解っす!ありがとうございます!」
『家族との時間、大切にしろよ』
「はい!」
俺が何年眠って、父母がどれくらい眠っていたかはわからないが、家族として過ごすのは久しぶりだ。それをくみ取ってくれたんだ、ありがたい。
―両親に再会して、俺の記憶の欠片が繋がり始める