にちじょう。えそら。

この度、日常とエソラが合体!創作もします。アニメ、漫画、アーティストさんの話します。ごゆっくり見ていってください!

第二十八話 卓斗の家族

どこにいるんだ、くるみ…!

 

「暗いからここらへん危なそうね、心配だわその子」

「俺が悪いんだ、二人でいれば安全だと思って目を離した」

「大丈夫よ、卓斗。きっと見つかる、そう強く願うの、必ず叶うから」

母の言葉が胸に突き刺さる。親ってなんでこんなに強いんだろうか。子どもを安心させてくれるんだろうか。

「悔やんでも仕方ないよな…」

 

「…がいします」

 

声がしてきた。会話をしている声か?

「そこに誰かいるのかっ!?」

 

「卓斗さん!」

「くるみ!」

 

良かった!無事だった!

「お前、どこいってたん…」

「見つけましたよ!黄泉人!」

俺のセリフにかぶる勢いのその声を聞いて、心配がぶっ飛んだ。

めっちゃ元気じゃん。

 

「こっちも見つけたんだ!そして、なんと俺の母さんだった!」

「えっ!?」

「あら、そっちは私の旦那じゃない」

「はっ!?」

母の声で初めて、二人目の黄泉人の顔を見る。まさか、そんな。

「父さんだ…」

こんなことってあるのか?

一気に二人も蘇ることすら珍しいのに、どちらも俺の家族なんて。

 

「卓斗、大きくなったな」

「おぅ、てか俺の家族、皆亡くなってたんだな」

「何悲しい顔してるの、今生きてるじゃない!」

「そうだけど、二人に会えて嬉しいけど。ごめん、俺、記憶無くしてるんだ。だから、なんか二人との思い出とか思い出せなくって、ごめん…」

「そうだったの!?これから思い出せるわよ。生みの親が二人も出てきたんだから、これ以上のインパクトある?」

「ははは…」

そうだと、いいな。

「それは置いておこう。その格好と言うことは卓斗、お前は今働いているところなんだろ?」

そうだ!黄泉人が蘇ったら、善悪か判断してそれから…

あれ?身内の場合はどうするんだ??

「隊長!黄泉人どちらも俺の身内でした、こういう場合は善悪判断どうすればいいっすか?」

『うーん、そうだな』

隊長がどんな判断をするのか。

皆、静かに待っている。

『一緒にまた暮らせばいいだろう!一週間くらい様子見て。とりあえず組織の本部に連れてきなさい』

意外なような、当たり前のような。こっちとしてはありがたいのですが。

「了解っす!ありがとうございます!」

『家族との時間、大切にしろよ』

「はい!」

 

俺が何年眠って、父母がどれくらい眠っていたかはわからないが、家族として過ごすのは久しぶりだ。それをくみ取ってくれたんだ、ありがたい。

 

―両親に再会して、俺の記憶の欠片が繋がり始める