今日は、とうとう生き返る。やっと生き返ってくれる。
思えば、あれから2年。
短いようで、長かった。
でも、やっとその苦しみから解放される日が来た。
シンさんの言う通りなら、
今日は満月で、人が蘇る・・・生き返れるのだ。
そして、あの人も・・・。
私は、くるみ。
この世界は、黄泉がえる世界と言われている。
なぜかというと、一度死んだ人間が、満月の日は生き返るのだ。本当だ。私も何度か見ているから嘘ではない。
だから、この街は汚い。
死体がごろごろと転がっている。
歩くたび、臭くてかなわないのだが、みんな気にしてない。
なぜなら、どーせ生き返るんだろ?という思想があるからである。
そう、だからこの世界は、人の魂なんて尊いと思っていない。
それに、天涯孤独の死体は、街中に転がってる衛生の悪さ。
最悪の世界である。
それと、なぜ蘇るではなく黄泉がえるなのか・・・それは・・・
死体は、満月の日なら、満月が見えなくとも朝でも、満月が見える夜にでも蘇る。
蘇った人が必ずしも、善人とは限らない。時には悪人も蘇って、また悪さをし始めるだろう。
そうしたら、この世の中はもっと最悪になっていくだろう。もっとけがれていくだろう。
そんなことにならないように、私が勤めている「黄泉がえり」という組織が立ち上がった。
「黄泉がえり」とは、蘇った人―通称、黄泉人を悪人か善人か判断する組織である。
善人ならそのまま生かし、悪人なら抹殺し、黄泉へ送る。
要するに黄泉へ帰る。黄泉帰る→黄泉かえる→黄泉がえるなのである。
黄泉へ送られたものは、よほどのことがない限り、生き返らないのである。
その判断をする組織である。行動隊と指示隊に分かれている。