私のばか、ばかばかばかばか。
自分の苛立ちをあの人にぶつけてどうするの。
後で謝らなきゃ。謝る、どうやって?
気まずい。顔合わせられない。こんな事になったのは誰のせい?
……。
ー私だ…
朝になったら、大分落ち着いてきた。
やっぱり、チャイだ。
チャイが帰ってきた!
夜中はびっくりしたけど、朝になって冷静に考えたら
この街は死者が蘇るとして有名な場所だった。
だから、この子は本当にチャイなんだ!
チャイが亡くなったのは、今から10年前。
私が10歳だった頃、初めて家で飼ったペットだ。
でも捨て犬だったため、すぐに病気になってしまった。
動物病院に連れて行ったが、治らず…
悲しくて悲しくて、思い出したくないと思ってお願いして、病院の庭に埋めてもらった。
チャイのお墓どうなってるかな。埋めた以来、思い出さないために行っていない。
よし!行ってみよう!
「あれ⁉︎動物病院、この辺じゃなかったっけ?」
久しぶりに来たから、間違えたのかな?
でも、動物病院のまわりの景色はあっている。
ここなはずだ。
しかし、そこには私の知らない会社があった。
しかもなにか事件があったらしく、キープアウトのテープがはられている。
「すいません。なにかあったんですか?」
近くにいた、黒髪の男の人に声をかけて見た。
「あ、あぁ。柱から動物が蘇ったんだよ」
「…動物?」
まさか。
「私、黄泉がえりという組織のものなのだが、部下がけがしてしまってね。その蘇った動物がどこに行ったのか、探してるところなんだよ」
違う、チャイは関係ない。違う日に蘇ったのかもしれない。
それに人にけがなんてさせる子じゃなかった!
「そうだったんですか!大変ですね。部下の方のけがが早くよくなるといいですね」
「ありがとう」
私はすぐ、その場を立て去った。
家で待ってる、チャイが心配だった。
よかった。ここに連れてこなくて、きっとあの人に犯人にされていた違いない。
私がチャイを守らなくちゃ!
「ただいま!チャイ!」
私はチャイを抱きしめた。
「チャイはなにも悪くない。私が守ってあげるからね!」
夜中。
ーガルルルルル…
静寂な暗闇の中、けものが一匹唸っている。
会社帰りだろうか。一人の人の気配がする。
けものは、見ている。対象がこちらに来るのを待っている。
奇妙な唸り声に気づいたのか、その人は立ち止まりあたりを見渡す。
声の方へ顔を向ける。けものと目があった。
ーその瞬間。
グオォォォォォォ‼︎‼︎‼︎
というけものの声が響いた。