荷物をまとめた俺は
自分の住んでいた家にたどり着いた。
みどりさん家に本当に近かった。
自分の家をまじまじと見る。
うっすらと記憶がよみがえり始めた。
記憶上よりも壁の色が黒ずんでいるけど、それだけこの記憶より年月が経ったのだろうか。
よく、壁にボールを当てて遊んでたら、怒られたな。
自転車がある。これで公園とかいろんなところ出かけてたっけ。
もう一個自転車、補助輪付きのがある。
俺が小さい時に使ってたやつ取って置いてたのか。
家の中に入る。
「懐かしい我が家!ただいま!」
母さんが嬉しそうに声を上げる。
「あんまり変わってなくてよかったな」
「ええ、そうだ!ちゃんと通帳あるかしら、まだ働けないもんね、生前に頑張った分があれば生きていけるはず!」
「仕事はせずに卓斗の帰りを待ってあげられる家でありたいな。いつもさみしい思いさせてしまったから」
「仕事は生活のために大事なもんだから、仕方ないよ、俺のためにありがとう」
愛情の伝え方は遠回りだけどちゃんと伝わってるよ。それに俺は全然さみしくなんか無かった。だって一人じゃなかったから。
…一人じゃない??あ、みどりさん遊んでくれたもんな。
自分の名前の書かれたプレートがかかっているドアを見つける。隣にはプレートがかかってたであろう跡が着いたドアがある。
とりあえず、自分の部屋に入る。空気が匂いが変わる。俺の部屋だ。変わってない。
組織の部屋とぱっとみ一緒。記憶があった時もない時も性格は変わってない証だな。
整理整頓はできてたみたいで汚部屋じゃなくて安心した。そして埃もなく、本当にきれいだ。
―コンコン
「はぁい」
「お風呂わかそっか!そして入っている間に頑張ってご飯作るね」
「ありがとう!ご飯作るって材料は?」
「卓斗が荷物準備している間に買ってきちゃった!」
「さすが」
「お風呂わいたら教えるから、まだ戻ってきた余韻に浸ってて」
「あ、うん」
余韻って…まあそうだけれど。
自分の部屋は後で十分みられるから、ほかのところ見ていくか。
父さんはリビングでテレビ見てる。
テレビも久々に見たな、組織じゃ見なかったからな。テレビ自体なかったし。
テレビ台の中の棚には人形がたくさん入ってた。
おもむろに開けて取り出す。色が落ちている、補修された跡がある。それだけ大事にされていたってことか。俺が赤ん坊とかちっこいときに遊んでくれたやつかな。
ウンパンマンとかしばいぬとか猫とかの人形。
「お!機動船隊ハヤブサじゃん!乗り物を人形にするとか斬新だな」
「それ卓斗好きだったよな。ウンパンマンよりそっちが気に入ってた…主人公になりきって発進させてたね」
「や、やめろよ、はっず」
「たーくと、お風呂わいたよ」
「はぁい、今から入る」
「今日の疲れはすっきりしないとね」
「うん」
とりあえず、風呂入ってリフレッシュしますか。